「ありがとう。この薬飲んで部屋で寝させてもらうよ。」

４泊５日の某ゼミナールに参加していた時、同じ受講生のＳさんが、今日は何か風邪をひいたらしくて体がだるく熱っぽいので、受講しないで部屋で寝ているというので
「あ、それなら医者にもらった良い風邪薬を持っているから飲んでみたら。そして休んでいれば良いよ。」
と以前医者に貰った薬の飲み残しを持っていたので
「この薬は効くぞ。なんせ医者から貰ったやつなんだから。」
と彼に２〜３袋渡したのだ。

　夕方になって部屋から起きた彼が「いやーいやー、ありがとう。良い薬を貰ったよ。薬を飲んで日中ゆっくり寝させてもらったのでもうすっかり良くなったよ。ほんとに良く効く薬だね。」と声をかけて きた。
「それは良かった。お役に立ててなにより。」と返事をした。

　本当のこと言うとあの薬は風邪薬ではなく胃腸薬だったのた。まったく無責任な話だと思うが、風邪薬、しかも医者から貰った薬だと信じて飲んだ彼には非常に良く効いたのだ。効くと信じて飲んだ彼自身が風邪を追っ払ったのだろう。
　何でも信じることが大事なんだな。でも彼にはいまだにこの話しはできずにいる。信じたままでいて欲しいのか怒られるのが恐いのかはよくわからないが・・・。
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　

　(2001.9.1)