The
collection of short essays by Our President (Masaaki Okada)
「岩松屋旅館の露天風呂にて」
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先日の朝、テレビの番組で全国の露天風呂の紹介をしていた。
露天風呂といえば数年前、作並温泉の岩松屋旅館の混浴だが女性専用の露天風呂が
別にあるので女性客が入ることは少ない露天風呂でのことだ。広瀬川沿いにあるここ
は渓流の音や小鳥の声が聞こえ、幾つもの石でできた浴槽が並んでいる私のお気に入
りの露天風呂である。
その日、大きなその露天風呂へは珍しく私一人しか入ってなかった。やがて露天風
呂へ降りる木造の階段に数人のおばあちゃん達とお孫さんであろうか若い女性が一人みえた。
脱衣所からおばあちゃん達がどやどや入ってきたようだ。私は首まですっぽり湯に
つかって川の方を向いていた。突然「○○ちゃん!大丈夫よ〜。男の人がいるんだけ
ど年配の人しかいないから心配しないで入ってらっしゃいよ〜!若い男の人なんかい
ないから〜。」という叫ぶような声が聞こえた。私は「え!年配?それ俺のこと?!」
。少々腹ただしさとわびしさを感じてしまった私はそんな掛け声などに無関心をよそっ
て川の流れをじ〜と見つめているしかなかった。
やがて女性達の賑やかな話声が後ろから聞こえはじめた。「いいわね〜。露天風呂っ
て。やっぱり女性専用の方よりここの方が露天風呂の雰囲気最高よね。」そして若い
女性の声。「ほんと、ラッキーだわ。お年寄りの男の人しかいないんだもの。入れて
よかった。あ〜気持ちいい!最高!」「ネエ〜そうでしょう。」だって。
もちろん私が露天風呂から上がることができたのは彼女達が立ち去った後であった。
随分と頭白くなったじゃないかと言われるようになったのはその頃からのような気がする。まして短髪だからなお、そう見えるようだ。
2001.2.12 |