The collection of short essays by Our President (Masaaki Okada)


「鯉」

 もう何年になるか忘れたけど今でも思い出す、おもしろいグルメの話。

 5人連れの若いサラリーマンが私の席に向かい合うように座った。 年下の一人が年長の一人に向かって

「先輩!出張が多いから、いろんなところでいろんな美味しいもの食べてるでしょうね。いいな〜先輩はグルメで。」

「あ〜、会社のおかけでいつの間にか各地方の名物料理通 になってしまったよ。」
と先輩。

「この前、米沢に行ったときは、鯉のうま煮を食べた。あれは実に旨い!骨まで食べられるくらいにまで煮込んであるんだ。いやー実にうまかったな。」
 と続けた。すると、

「先輩、いいっすね〜。いろんなモノ食べられて。でも米沢の鯉の煮ものなんて、黄色とか赤色なんかあって、気持ち悪くないっすか?」の後輩の声。

「いやー大丈夫なんだよ、その鯉は。色がわかんないくらい黒くなるまで煮てるんだから。気にならなかったよ。」

 そのとたん私の手からぐい飲みコップが落ちそうなくらいに吹き出してしまった。

 (アメ横のガード下の居酒屋で)



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